ハチャの深層

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演技派としての中谷美紀とその次

 中谷美紀ファンである。見てくれもそうですが、惹かれるのはその演技のほうです。完全にはまったのは刑事もののドラマ「ケイゾク」でした。たまたま観た再放送でその面白さに運良く気づきました。映画しか借りたことのないツタヤに初めてテレビドラマを求めて走りました。「犯人わかっちゃったんですけど」が決めゼリフの柴田刑事役が見事でした。それから、「ハルモニア この愛の涯て」では聾唖のピアニスト。そして「永遠の仔」。気が付くといずれも変わった役ばかりで普通の役をやっていませんでした。そこはキャスティングする人が「この役は難しいから中谷で」と前向きに解釈することにしましょう。そういう意味で中島哲也が「嫌われ松子の一生」で中谷を選んだのはわかる気がしました。この記事を書こうとしたのは最近「白洲次郎」「JIN-仁」で久し振りにドラマ出演しているからというのもありますが、どちらかというと中谷以降のことをずっと考えていたからです。女優というのは30代になるといくら演技が上手くとも20代の時期のようにはテレビ出演しなくなるのが悲しいです。
 私は演技の巧さでは中谷を推していたのですが、ドラマにめっきり出なくなってその次の人が出ないことに残念な思いがありました。でもようやくという気もしています。蒼井優と成海璃子。ふたりともまだ若いですが、とっても期待しています。特に成海は以前トップランナーに出ていた時に「怖い!」と思いました。あの若さで凄みを感じさせたのです。成海は女優になるために生まれたと直感したし、彼女自身もそう思っているでしょう。何しろ、この箱(テレビ)に入りたいと子供の頃思っていたそうです。私はNTTドコモのCMでさえとても評価しています。
 さて、昔から気になっていた演技に関して役者が言っていた言葉があります。

「素人に受ける演技とプロ(役者仲間、演出家)に受ける演技は違うんだ」

 これは未だに違いがわかりません。特に知ろうとも思わないですが、そのことと関係があるのか私自身、演技に対しての好みがここ数年はっきり変わってきたことを感じたのです。
 以前知人の女性に演技が巧い女優を尋ねたら「大竹しのぶ」と返ってきました。確かに呆れるほど上手いです。でも私の好みではないのに気づきました。その後しばらくしてオダギリジョーが言っていた言葉に合点しました。
「いわゆる演技っていやなんですよ。うわーさっき俺、演技しちゃったと思う瞬間がたまにあって、しまったと思うんです」
 もちろんテレビドラマと違って舞台では観客は遠いので声、演技もやや大きくなります。わかりやすく言えば大げさ。でも舞台ではちょうどよいのでしょう。でもそれをテレビや映画に持ち込まれると引いてしまうことが私にはあります。去年でしたか、「夢をかなえるゾウ」で古田新がガネーシャ役を演じていました。関西弁を操る胡散臭い神様ガネーシャが私は、はまっていると思ったのです。でもドラマ大好きの知人がちょっと好きになれないと観るのを止めたのはこの辺のところがあるようにも思ったのです。
 渥美清がファンに芸名の「渥美清」ではなく役柄の「寅さん」と呼ばれることの嬉しさを語っていたことを思い出します。渥美清はかなり特殊かもしれません。でも「中谷美紀がよかった」ではなく、「中谷が演じていた柴田刑事が良かった」は同じようですが、鑑賞者の印象にかなりの違いがあるように思います。鑑賞者に役の名前で印象に残る、残らないというのはその役を演じている、なりきるの違いに通じるように思ったからです。つまり役の名前が残らないのはその俳優が演じているという印象が強い。その役の名前が残るのはその俳優がその役になりきっている。そんなことを考えました。俳優が役になりきっていると「上手い」という言葉が出にくいのではないでしょうか。鑑賞者はそんな人がいるのだと思い込んでいるのですから。そういえばケイゾクで中谷を起用した堤幸彦は中谷美紀を普段も柴田刑事みたいな性格ですよ。とビデオのおまけのインタビューで話していましたが、これは恐らくはカメラが回っていないときも中谷が柴田刑事になっていたのではないかと思ったのです。
 役を演じるのではなく、役になる。前出の若い2人は明らかに後者のスタンスをとっているように思います。もちろんその域までまだ到達していないですが。その域というのはもちろん、彼女らが思う域という意味です。

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  1. 2009/11/30(月) 22:53:46|
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