ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

ダニール・トリフォノフ ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番

 先週の日曜日の深夜のNHK BSのクラシック番組を昨日観ました。ベルリンフィルのジルベスターなので予約をためらった(ラトルは好みではない)のですけど、念のために。
 週末に買ったシャツの背中にダーツが入っているのに気づかず、それを解く作業をしながら聴きました。聴いたことがあるピアノコンチェルト(ラフマニノフの3番)だけど、ずいぶん静かに弾いているなあ。そんな印象でした。演奏者を見ると無表情で眠っているかのように大人しく弾いています。でも、5分ほどで惹かれてきたのです。この段階で、どうやら大変な演奏らしいと気づきました。一旦、再生を止めて、解き作業を終わらせ、ちゃんと聴くことにしました。名前はダニール・トリフォノフ、まだ25歳。
 続きをそれなりの音量で聴くと、直ぐに、そのもの凄さがわかりました。25歳にして既に確りとした音楽観があります。よく、音楽で世界観を表現すると言います。演奏家が曲の演奏を超え、音楽世界を表現しているのですから、その時点で卓越レベルと言ってよいと思います。でも、トリフォノフはその世界観の中で弾いていました。観客に演奏者の世界観が届くのではなく、ホール全体がその世界になっていて、観客も演奏者もすっかりその中にいます。それはスケールと言うより、納得感です。隣の人に、「その中にいるよね?」と聞けば、「もちろん」と応えるでしょう。恐らく、トリフォノフもそんな感覚で弾いているのだと思いました。世界観を作って、その中で演奏するのだと。だから、無表情でいられる。スポーツの世界などで、ゾーンに入った状態などと言われる、そんな状態に見えます。動的瞑想状態と言って良いかも知れません。
 一般に最上級の演奏家でさえ、一つの曲の中で良い部分、普通の部分があります。音楽家も人間ですから長いこと集中できるものではありません。しかるに、トリフォノフはほぼ、全編良いのです。「良い?」いや、「凄い」です。それはそうです。最初から最後までその世界に我々はいるのですから。いやはや、凄いピアニストが現れたものです。
期待して、臨む演奏会も、それはそれで良いですが、背後から大きな木槌で不意打ちされるのも、たまにはいいものです。

演奏:2016.12.31 ベルリン
放送:2017.01.30  NHKBS
スポンサーサイト
  1. 2017/01/31(火) 13:18:38|
  2. 音楽
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

ハチャ

Author:ハチャ
アーティスティックなものが好きな私です。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する