ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

華氏74度の仮想空間

 今年はそれなりに梅雨らしい日々である。梅雨の時期らしく中休みもある。3日ほど前がそうだった。夜、部屋に戻ると日中に差し込んだ陽のせいでと熱気が溜まっていた。空調を入れるほどではないので熱気を逃がすためにベランダ側の窓を開け放った。ベランダの向かいは急斜面で竹や樹木が生い茂っている。隣の建物とのちょっとした生垣の役目を果たしている。地面は見えないほど葉で覆われており、その中に4,5輪ほど浮かぶように点在して咲く紫陽花を真上から見るのはなかなか良い眺めです。
紫陽花

 私は時間をかけてシャワーを浴びたのだが部屋の熱気はまだ冷め切れずベランダに涼みに出ることにした。パジャマに着替えたところで先週買ったシングルモルトを思い出す。グラッパ用グラスにロイヤル・ロッホナガーを注ぎ、チェイサー用に背の低いグラスを出してミネラルウォーターと氷を入れ、ビターチョコレートを1ピース沈める。
 今夜は薄い雲に覆われていたものの雨の気配はなさそうだ。そう思いながら紫陽花を眺めるべくベランダに出た。すると、どこからか甘い香りがした。驚いたことに男性用のフレグランスでクリスチャン・ディオールのファーレンハイトの香りである。ファーレンハイトはトップ~ミドル~ラストと香りが変化していくのが特長のフレグランスである。今香っているのはミドルのそれであろう。私は以前これを使っていたのだが今ではもうそれは無い。香りの確認するまでも無いが、思わずフレグランスを以前しまっていたチェストに残ってないか探した。それにしても階下の住人の仕業なのだろうか。一度階下の住人とすれ違ったことがあるが、その住人はシャネルのアンテウスを使っていた。アンテウスは香料を溶かすベースのアルコールの香りが独特で扱いが難しいフレグランスだ。
 まあそれはともかく、少し湿気た草木の香りとファーレンハイトのミドル・ノートの中でロイヤル・ロッホナガーのピート香を嗅ぐのはなんとも不思議である。
 しばらく涼んでいると倒錯したような感覚に襲われる。ベランダの少し湿気た空気感は現実の日常だが、ロッホナガーのピート香と真上からの紫陽花の眺めは現実の非日常である。もちろんここまではいい、しかし、紫陽花とベランダが存在する空間を遮るファーレンハイトは確かに現実なのだろうが非現実的で、非日常である。
 逆側、つまり向こうの世界から表現すれば紫陽花と私が立つベランダの間、そこに存在する空間はファーレンハイトが創る仮想空間なのだ。

水無月下旬23:50 曇り F74度
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  1. 2006/07/02(日) 14:32:01|
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