丸の内の出光美術館で開かれている「国宝 風神雷神図屏風」は盛況です。先週末に訪ねると一時間待ちで、即刻あきらめました。そして今週の平日の閉館間際に滑り込みました。
この展覧会は俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の3人の風神雷神図屏風が集まるというなんとも興味深く、贅沢な企画です。
まず、宗達の屏風を目の前にすると「ヤッホー」という気分になりました。そういう気分にさせる絵です。色は恐らく保存状態が良くなかったのでしょうか、他の2人と比較すると鮮やかさに欠けます。しかし、逆に深みや趣を感じます。
光琳、抱一ともに構図は殆ど同じで模写と言っても良いくらいです。雲の感じが違うくらいです。もちろん、目や顔の表情などの細部はそっくり写すのではなく独自の解釈で描いているところはあります。
光琳、抱一ともに色は鮮やかです。抱一は特に色がマットでポップさを感じました。もちろんこれは抱一が得意とする画法で意図して行ったことです。
さて、この3人の絵の一番の違いは風神雷神の配置です。オリジナルの宗達は左の雷神が左上に、右の風神が右上に配し、まさにお互いが中央に降りて来る動きを意識したものです。光琳、抱一も基本的な位置は変わらないのですが、光琳がやや中央寄り、抱一はさらに寄っています。この若干の位置の差によって、2人の描いた風神雷神の動きが宗達より止まって見えます。宗達の絵を見ながら描いたのであるからその効果はわかっているはずなのに何故止めたかったのか。単なる模写に終わるのは本意ではなかったのでしょうか。
この辺りの3人の絵の違いは2枚の写真を透かして違いを見せる工夫を展示で行っていました。大変面白い展覧会でした。
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- 2006/09/26(火) 22:28:17|
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