ハチャの深層

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ロジャー・ノリントン(古楽奏法)

 クラシック音楽の指揮者にはいろんな考え方の人がいます。今年のNHK音楽祭で来日したイギリス人のロジャー・ノリントンは古楽奏法という観点から現代のオーケストラを指揮する人です。古楽器奏法という考え方は時折聞く事があります。作曲した当時の楽器で演奏する、つまり当時の音を楽器で再現するというのは素直な考え方です。それは例えばピアノが発明されるの楽曲であればチェンバロでということです。でも古楽器を使うというのは専門の演奏家、楽団で演奏されるにすぎません。現代楽器と古楽器の両方使いこなすというのは慣れや所有の負担が大きいためでしょう。
 さて、古楽奏法というのは演奏側の負担という意味では現代楽器はそのままに奏法だけ当時のものを再現するというやり方なのでとても柔軟で面白い方法論だと思います。ロジャー・ノリントンの提唱する古楽奏法のもっとも特徴的なのはヴィブラートをしないということです。ヴィブラートというのは1930-40年代に発生した奏法だということでした。さて、ヴィブラートのない裸の音で演奏するということは音程の正確さという意味でごまかしがきかないということです。ヴィブラートありのときよりいっそうの調和が求められます。ノン・ヴィブラートのほかにはテンポ、楽器編成、強弱、フレージングなどをその当時(18世紀)のルールで現代オーケストラに当てはめるようです。
 TV放送で聴いたモーツァルトの交響曲39番演奏の響きはシンプルで透明感があり、本当にぞくぞくするほどでした。一聴すると今までとさして変わらない感じなのに体がぶるぶる反応するのです。途中からずっと興奮しっぱなしでした。今まで聴いてきたヴィブラートのある演奏がちょっと装飾過剰かもしれないと思いました。これはヴィブラート無しが私にとって新鮮であったというわけではなく、響きそして演奏そのものが素晴らしかったからです。ちょっとうがった見方をすれば、ヴィブラート無しに対する演奏側の新鮮さが演奏に表れていたかもしれません。なんにせよ本当に良い演奏でした。

 面白いことに演奏が終わったその瞬間に指揮者は観客のほうに振り向き、手を広げてニッコリ微笑んだのです。これも18世紀のルールでしょう。ああ、まさにブラーボ。


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  1. 2006/11/13(月) 23:38:01|
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