ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

歩いても 歩いても

 不慮の事故で後継ぎである長男を亡くした一家。その長男の命日に次男(阿部寛)、長女(YOU)一家が実家に集まるたった一日を描いた映画。喧嘩の絶えない老夫婦は原田芳雄と樹木希林。
 久しぶりに帰った次男の良多はスイカを冷やすために風呂場に行き、そこに手摺りを見つける。セリフは無いが父親の老いを感じるシーンである。物置となった部屋にはいつまでも捨てられない子供の持ち物がたくさんある。そして、娘に料理を任せられない母親。泊るからと聞いたからその度毎に買って用意する息子のパジャマ。いつの世にも、どこの家庭でも思い当たる事柄です。そんなシーンが随所に、いいえ、その連続と言っても良いくらいです。見逃すとなんてことのないシーンも考えてみるとなにかしら思い当たる事柄があると思います。だから当たり前ですが事件も何も起こりません。でもそれでいい。そうでなきゃいけない。映画は淡々と進み、鑑賞者は自分の家族とシーンを重ねていきます。鑑賞し楽しむというより、鑑賞し自分の体験と重ね噛みしめる映画。もしかしたら観ている時間より観終わった後噛みしめる時間の方が長くなるかもしれません。

 何にも起こらない映画。そんな映画誰が作るのだろう。昔は小津安二郎がそんな映画を作りました。映画のエンターテイメント性が強くなった今の時代、いったい誰が作るのか。そんな回答が是枝監督から出たような気がします。つまり、
「今どきこんな映画誰が作る?だから俺が作らなきゃ」とでも言うように。こういう映画というのはいつの世にも必要としているのだと思います。それはTVの連続ドラマで表現するには仰々しいです。やはり、映画もしくは2時間物のドラマ。

人はやりたいことやる時期を過ぎたら、やらねばならぬと気づく時期に至るのかもしれません。是枝監督がそんなこと考えているのかどうかなんてわかりません。でも、単に好きで作ったとは思えない映画です。興行的には厳しいのでは。もし、やらねばという思いならそんなこと関係ないのでしょうけど。
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  1. 2008/07/27(日) 12:36:04|
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