ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

落下の王国(The Fall)

 この映画を観て万人が思うのは映像美であろう。世界各国でロケ・ハンされた実に美しい映像。そして、アングルやカット割りなどカメラワークがそれらを圧倒するほど引き立てます。美しい風景は基本的に背景にしか使わないのですが、その使い方は贅沢極まるもの。観ながら思わずもったいないと思うことが何度となくありました。しかし、この映画は映像美だけに終始していなのです。
 まず、古き良い時代の病院から始まります。病室は靴音が程よく響く木の床、ランプシェードは品の良いもの。トーネット作のダブルループのビーチチェア、オレンジを運ぶ無垢の木のコンテナなどを観て、すぐさまこの映画は本物だと思いました。集めたのではなくこの映画のために作ったにせよ監督は本気であるということを感じました。それは微塵も感じない違和感のせいです。
 1915年無声映画の時代、スタント俳優のロイが足を怪我し入院。女優のガールフレンドも主演の俳優にとられ失意のどん底に。歩けないロイは同じ病院に腕を骨折している5歳の女の子アレキサンドリアにお伽噺を聞かせます。そして話の続きを聞きたければ薬を取ってくるよういう。彼は好意で聞かせてあげたのではなく自殺するための策略だったのです。映画はロイの語るこのお伽噺を中心に進んでいきます。お伽噺だからどんな結末にもなるのですが、観ているうちに映画の結末としてこの先どう展開していくのだろうかと心配になりました。提示されている要素としてはあまりにも先が見えていたからです。でもある事件で映画は急展開します。そして、そこからお伽噺の目的はアレクサンドリアを操るための手段ではなく、ロイとアレクサンドリアのお伽噺となるのです。この事件後、アレクサンドリアの絶妙のセリフ、そして演技、はたまた演技指導のせいなのか鑑賞者はここから坂道をころがるようなスピード感に釘付けになります。とにかく事件後のアレクサンドリアが健気でたまらなくかわいい。それはお伽噺の続きが聞きたい一心の純真な心。そして、その心にロイも心打たれたのでしょう、失意から這い上がります。ありがちなストーリでも持って行き方が重要だといつも思います。今回は持って行かれたなあ、やられたなあと思います。ヒットして欲しいし、たくさんの人に観てほしい映画。心に残る素晴らしい作品です。
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  1. 2008/09/19(金) 00:12:01|
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