ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

美味しい料理より忘れ難い料理を(前編)

 料理を作る殆どの人が言われたい言葉としてあげるとすれば、やはり「美味しい」なのでしょう。私が料理道に入ってすぐの頃はやはりそんなこと思っていました。でも、ある出来事があって変化しました。これ以降、本当はこんなこと言われたいと思っていたことがあるにはあったのですが料理初級者に賞賛の言葉など戴けるものではありません。

 数年前、横浜の中華街のある店に行く企画に参加したときの話です。その店はガレージみたいなところで営業してました。食通主催の企画ですから、料理が不味いはずは無いわけで何か理由があってこんな形なのだろうと逆に期待が高まりました。さて、出てくる料理は中華料理屋でよく見かけるものとは少し違っていました。少しだけ変わった食材を使った料理をなるほど、そんなものかなどと食べ進めたのです。なにしろ初めて食べるような料理が多かったので較べようがありません。品数も多かったですし、量的にも十分。長い時間をかけて料理を食べたのですが、食べきれませんでした。事前に持ってくるよう言われた持参のタッパーに余ったものを詰めて持ち帰りました。タッパーに持ち帰るほどですから、当然満腹なわけです。その日はもう食べれない、そして、暫くはこの店の料理は食べなくてもいいと思ったのです。料理は舌に優しい調味、内臓に優しい調理でその日その場では普通に美味しかったという印象でした。ガレージみたいなところを貸し切り、2階から次々に美味しい料理が下りてくる。なんだか秘密めいた感覚がとても楽しかったというのが一番の印象でした。
 さて、その翌日の日曜の話です。いつもとさして変わらない朝食、昼食を食べました。そして、夕方。何を食べようかと冷蔵庫を覗き込むと昨日の残り物を入れたタッパーを見つけました。このとき私の中の川の堰が決壊したのです。無意識から意識下へ大量の渇望という水がとめどもなく流れ込んできたのです。
 「昨日、どうしてもっとタッパーに詰めて込んで帰らなかったのか。どうしてそれに気づかなかったのか?」
 これは翌日の夕食にするために、ということではありません。流れ出したのは今日も昨日のあの料理を無性に食べたいという思いです。それは禁断症状的な欲望と言ってもよいほどでした。昨日はそれほどではなかったのに、翌日になって無性にまた食べたくなったのです。こんな経験は初めてです。その時はそうでもないのに食べ終わった後、しばらくしてから後ろ髪を引かれるように気になってしようがない。でもそのときは目の前に料理も、そして賞賛したい作り手もいないので後の祭りなのです。

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  1. 2008/11/12(水) 21:59:31|
  2. 食(その他)
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