ハチャの深層

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ミハイル・プレトニョフ(ベートーヴェン第5番、第7番)

 7/4にプレトニョフによるロシアナショナル管弦楽団のコンサート(チャイコフスキー悲愴)に行ったとき、別の日ではベートーヴェンを演っていました。この観ていないほうの演目が先日NHKで放送されていました。交響曲の7番と5番(当日の曲順)。
 私は何度かプレトニョフを聴いていますがロシアの曲しか聴いていません。今回は初めて母国外の曲です。
 ベートーヴェンというのは、かく演奏すべしというものがクラシック音楽の世界にはあるように思います。厚みのある、重々しい響きで格式あるスタイルと言えばわかりやすいでしょうか。曲調もそれが似合うものが多いですからある意味一番自然なのかもしれません。しかし、別の解釈もあります。そのような演奏を初めて聴いたのはスタニスラフ・スクロヴァチェフスキーでした。スピード感があり軽快でした。軽いとはっきり言ってもよいです。軽いと言うと軽薄な音のように感じてしまうかもしれませんが、スクロヴァチェフスキーの演奏は全く素晴らしいものでした。彼の音楽スタイルは装飾はせずスコアのままに、ということらしいので、やはり普通の指揮者がいろいろ付け足したりしているのでしょう。
 さて、ベートーヴェンのイメージをブレイクした2人目がプレトニョフでした。まず7番ですが演奏はスピード感がありました。クラシックにこのような表現も変ですが、音がのっている感じがありました。でもどこまでも滑らか。氷上を滑走するが如し。しかし、軽さを感じないのは音が堅牢なせい。いったいどうやったらこのような音を構築できるのか、不思議ですらあります。
 次に5番。これの曲はドラマチックな印象がありますが、この辺は抑え気味でした。でもこの日の演奏を基準に考えてみましょう。つまり今までの演奏はドラマチックさを強調するためにそれ以外の要素をちょっと犠牲にしていたように思ったのです。プレトニョフの5番は焦点が寸分の狂いもなく合った音。音楽の流れを重視したというような表現がありますが、彼の場合は音の流れ、ハーモニーがドミノが倒れていくように流れるようです。一つひとつの重なりが明瞭に見えるようなのはやはり焦点があっているからこそ。

 同じロシアのサンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団のテミルカノフのレビュ(2008.11.21)でオーケストラという楽器が一つ鳴っているようなと表現したことがありますがプレトニョフは明らかに楽器単位です。まあ、これは普通なのでしょうけど。

 観客の反応ですが7番のほうが受けはよいようでした。これは曲が派手なせいでしょうか。私も7番のほうが受けました。これは解釈の面白さです。ということはいずれにせよプレトニョフの提示を上手く咀嚼できていないということでしょうか。5番を何度か聴いてみる必要があります。

 この日は珍しくアンコールがありました。バッハ(ストコフスキー)の組曲第3番二長調「アリア」だったのですが、これが恍惚となるほど素晴らしかったのです。やっぱりこの日はちょっとした事件だったのでしょう。私が行った日は何もなかったというのに。


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  1. 2009/10/19(月) 22:12:44|
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