ハチャの深層

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カラヴァッジョ/天才画家の光と影

カラヴァッジョ
 画家。あまりにも良く知られている絵があったとしても本人の事はあまり知られていないものです。それは一般に画家の人となりが絵の価値にさしたる影響を与えないからでしょう。でも知られていないからこそ人は「こんな絵を描く人はどんな人だろう」との思いが強くなります。例えばゴッホという画家は映画のテーマとしてはうってつけですが、彼は例外的に良く知られています。噂には聞くが詳しくは知らないという画家であるカラヴァッジョはまさに興味をそそるではないでしょうか。

 映画はカラヴァッジョが有名になりつつある頃から始まります。その後にある枢機卿に認められ宮殿の一室を与えられます。それから彼はその才能を存分に生かすのですが、日頃の野蛮な行動で何度か牢獄に出入り。パトロンも段々かばいきれなくなります。最後は決闘により殺人を犯し逃亡の身に。激情型の人間と聞いていましたので私は覚悟していましたが、観客はカラヴァッジョの行動にじりじりした気持ちで観ていたことでしょう。舞台となったイタリア本国の映画でなかなか良くできています。中世時代のセット(?)による表現、衣装も特に違和感はありませんでした。主人公が架空の画家でも作りとしてはそれなりに面白かったように思います。もちろん主人公は実在しており、しかも彼の有名な作品が今まさに日本で展覧会で公開されているのです。それはもう、思い入れは入れたいだけ入りそうです。
 カラバッジョが宮殿の一室に最初に入るシーンですが、この部屋がまさにカラヴァッジョの絵画のなかの部屋でした。コンピュータグラフィックで作ったのではと思いました。この映画の見どころでしょう。私にとって一番のシーンでした。

 カラヴァッジョの絵は客観的にみて素晴らしいと思います。でも私個人の趣味ではどうしても素直に受け入れることができない絵もありましたた。それは何故なのかという長い間の疑問がもしかしたら解決するかもしれないとの思いもありました。ここで私の趣向を書き記しても仕方が無いですのでカラヴァッジョの絵に対してのちょっとした考察をしてみたいと思います。それは彼が概ねこの映画で表現されている人であることを前提としています。

 カラヴァッジョは光と影の人、そして「手の表現の豊かな画家」と言われます。まず光と影です。私の映画鑑賞後の印象では闇の深さを表現している人という感じでしょうか。ゲーテが「昼間の明るさに夜の闇の深さがわかるものか。」と言っています。もちろんこれは比喩で人間の陰の深さを言っているのでしょう。もし見えるのであれば深さというのはわかるもの。見えないからこそ深さはわからないということでしょう。カラヴァッジョも野垂れ死にした人、キリスト教を否定し火焙りの刑になった人、母娘の断頭の刑など興味を引いたようで活目していました。この時代はまだ神話の世界や宗教画、そして身分の高い肖像画が一般的な時代。そんな時代に少しばかり背くようにカラヴァッジョは人間の闇の部分にスポットを当てたのです。もちろん、そうではない普通の肖像画も沢山ありますが、それは食っていく為に描いた。

 それから手について。絵画の中で人は喋ることはできません。だから手に語らせる。鑑賞者はカラヴァッジョの絵を劇的という見方をします。もちろん、劇的な場面の絵画での手の表現が見事です。ただ彼としては本心から手に語らせたかったのではないかと思いました。技巧、表現力としての手の描写ではなく、その人が叫んでいる言葉を手に代弁させるということ。

 結局のところ私がカラヴァッジョの絵に個人的な違和感を感じる理由はわからないままでした。でも、もしかしたらと思いました。それは絵に表現された闇の深さにカラヴァッジョの怒り、憤りが込められているからではないかと思ったのです。絵の陰の深さの色合いといったら素晴らしいことこの上ありません。でも彼は意図してそう表現したのでしょうが揺らぎみたいなものが認められます。それが私の心を揺らしてしまう。100年ほど前の時代の画家で私のお気に入りのラファエロにはそんなもの微塵もありません。どうしてもカラヴァッジョはラファエロと比較してしまいます。そもそも時代が近いだけでタイプの違う画家なので比較するのが間違っているのですけど。

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  1. 2010/03/11(木) 22:48:36|
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