ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

麦の穂の揺れる穂先に

 私は基本的に演劇は観に行かないのですが例外はあります。江守徹が好きでシェークスピアのリチャード3世を見逃したのが数年前。これが悔しく、ずっとシェークスピアを待っていました。しかしやらないので仕方がなく何でもよいからと行きました。何でもよいからと言ったら平田オリザに失礼ですね。
 大学の文学部の教授の父(江守徹)、そしてなかなか嫁に行かないその娘が暮らす鎌倉の家を舞台にストーリーは展開します。妻を亡くした父は昔堅気の人で家のことは何もしません。妻の代わりを一人娘がこなすがそのために結婚に前向きになれません。父の姉夫婦は姪にお見合いを世話しようとしたり、周りの人たちは娘の幸せを願うのですが娘は結婚どころか付き合っている人もいないしまつ。仕事は動物園の飼育係で職場での出会いも期待薄。家には父の研究室の教え子や父の親友の大学教授、そして、その教え子など賑やかです。平田オリザの今回の作品は小津映画の「晩春」「麦秋」を下敷きにしたということでこの辺りの風景は小津の描く家族とそれを取り巻く人たちのものがうまく表現されていました。

以降はネタばれですのでご注意ください。

「結婚なんてのは、勢いとかそんな感じでするもんだ」

(中略)

「今度学会でダブリンで行くんだが、パブでイェイツの詩を朗読したら俺だってアイルランド人からビールを奢ってもらえるだろう」
「それは若い女性が朗読するから奢ってもらえるのであって」
「じゃあ賭けるか」
「いいわよ」
「俺が奢ってもらったらお前は結婚しろ」

 この賭けの結果について父は娘に話したわけではありません。でもその結果を察するように娘は唐突に結婚を宣言します。誰とどのタイミングで結婚するかはなんとなくわかります。それは上演終了30分前まで何もそれらしいことは起こらなかったからというのもあります。でも、最後の最後に父が語った劇中劇の落ちには驚かされました。私の不勉強なのですが、これは「晩春」の落ちでした。もちろん現代的に書き直してはいます。そう言えば江守徹は数年前の脳梗塞の影響なのでしょう、ろれつが今一つでした。切れの良い滑舌を期待しただけに残念な思いが残りました。

6/6 紀伊国屋サザンシアター

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  1. 2010/06/07(月) 10:58:34|
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