ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

アラン・デュカスのひと皿フレンチ 魚

デュカス料理本
 料理道を邁進する私にとって世の著名料理人はすべからく「凄い」のであるが、好きかどうかはまた別の話です。著名料理人の中ではアラン・デュカスは本当に好きである。何故に好きか考えたのですが端的に言ってデュカスは食材を尊重しているし、食材の生産者を尊重している。凡百の料理人が言う「食材にこだわる」と似てはいますが違うように思います。いつだったか日本に来て畑に案内されるところを観たことがありますが、畑までの途中の道に生えている一般には食用ではない草(?)を指して「これは何だ?」と質問し、そして、食べる。また別の草を指し質問して、そして食べる。これは衝撃的な映像でした。食べたあとのデュカスの反応ですが何度か首を縦に振っているのが印象的でした。私の勝手な想像ですが、デュカスは香り、食感、テクスチャー、歯応え、繊維の有り無し、えぐみ、などその草がもつ性質を確認していた風に見えました。素人なら食べれるかどうかで終わるような程度のところです。それはデュカスが食材の良いところ引き出す多くの技術を持っているからこそできるのでしょう。食材にこだわる料理人は現地の生産者の所に行ったとしてもその生産者の勧めるものから選んで食し判断する位でしょう。でもデュカスは目に入る全てのものから選んで自分の舌で判断する。好奇心が旺盛というのもあろうが、最終的に自分の舌だけで判断すると言うその自信にひどく感銘を受けたと言うのが正直なところです。それは食材に「拘る」というより「活かす」と表現すればわかりやすいでしょうか。これは似ているようでまったく違います。
 そのデュカスの料理本を見つけました。魚をテーマにしたものとお米をテーマにしたもの。今回購入したのは魚の方。ページ数も少なく価格も¥1200と手頃です。料理哲学というより、料理に対する敬虔な姿勢が感じられます。料理手順の説明ですが、これがあまりにもすんなり頭に入ってきます。一つの料理で写真が20枚程度と多いです。何よりそのコメントがわかりやすいのが素晴らしい。必要な手順の通りに的確に表現されています。文章だけを読んでも映像が浮かぶようです。これには驚きました。きっと注意して表現したというより、普段からのこのような表現をしているのでしょう。写真に対してコメントをつけたのではなく、工程ごとのコメントに対して写真を選んだかのようです。それほど違和感が無いです。私もブログにレシピを載せていますが、その表現が恥ずかしくなるほどです。レシピ表現というのは基本的に料理をしている最中、つまりは余裕が無い状態で読まれるわけです。だから簡潔な表現でわかり易く、必要なだけ冗長性のない表現で書かれるべきと思っていました。それがデュカスの本にありました。
 著名料理人のレシピ本は多かれ少なかれ、自分の言いたいことが見て取れます。でもデュカスの場合は手順を間違わないようにということが見て取れます。このあたりが凄いなあと感心します。

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  1. 2010/09/04(土) 17:13:06|
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