ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

「美味しい」の構造学(2/2)

第2話.歯に対する刺激

・歯ごたえ、歯切れ
 数の子を味覚的に美味しいと思ったことは余りありません。でもこりこりして気持ちいいなとはいつも思います。イカ、ナンコツなど歯ごたえが心地よいものはいろいろあります。肉だって歯ごたえ、別の表現をすると噛み応えと言うのがあります。それとは別にセロリやきゅうり、りんごなど歯ごたえではなく歯切れの良さを感じる素材があります。これも歯ごたえ同様に気持ちの良いものです。

 このように味覚とは別に歯に訴えることで美味しいに繋がることは良くあることです。ただ、2つ以上の素材を合わせることによって成立する料理において歯ごたえをどう取り入れるのかはなかなか難しいです。テリーヌに入れる素材にアクセントをつけるために少し硬めの素材も入れたり。リーフサラダにいんげん豆やえんどう豆を入れたりしてアクセントをつけたりです。例えば筑前煮に入っているゴボウの歯ごたえとレンコンの歯切れの良さは非常に良いアクセントになっているのではないかと思います。

 アクセントではない手法としてこういうのがあります。複数の野菜を入れる場合にその大きさを揃えます。そしてそれぞれの野菜の火の通りの時間を逆算して調理し硬さを揃える。硬さを揃えることにより、食べ手はそれに神経が行かないようになり、複雑なテクスチャーの印象が浮かび上がります。これはわりと高度なテクニックです。食べ手はそんな技術に気づかずいつも食べる料理とは違うと考え込むでしょう。これはミネストローネで簡単に実践できます。

 歯に訴えないという表現ですと柔らかいというのもあります。柔らかく仕上げること。例えば脛肉を長時間煮込んで柔らかく仕上げることなどです。さし入りの元から柔らかい肉はテクニックとは別の問題ですからここでは触れません。いずれにしても歯に刺激を与えるということは美味しいの一つの要素だと思います。

第3話.舌に対する刺激

 舌に対する刺激と言っても辛味や強い酸などのことではありません。ここではあくまでも物理的な刺激のことです。

 クリーミーなウォッシュチーズなどの柔らかいチーズはその美味しさの要素の多くは舌にまとわりつく感覚にあると思います。最もわかり易い例で挙げたのですがここでは前出の油以外の例を挙げることとします。納豆などはどうでしょうか。それに雲丹。
 さて、納豆も雲丹もそのものが美味しいと反論されそうですが、実はまさにそうです。舌にまとわりつくものに関しては基本的に美味しくないとまとわりつきがうるさく感じます。舌にまとわりつくのが好意的に受け入れられるのはそれが美味しい時だけです。美味しいが故にそれが舌から離れないことが食べ手にとってはたまらないのです。例えばピュレやムース自体がもし美味しくない時、美味しさを感じる要素である歯や舌への刺激が無いからより一層不味く感じます。美味しくないという味覚がまとわりつくことによって一向に消えないからです。

 舌への刺激というのは前面に積極的に出すことは少ないと思います。例えばコーンポタージュのクルトン。とろりとしたスープの食感にアクセントが加わります。別の言い方をすれば飽きが来ないような役割です。

 これと似ているのがゴルゴンゾーラのペンネです。生クリームとゴルゴンゾーラチーズのソースにスパゲティ、マカロニではなく何故ペンネが一般的なのかはペンネの尖った部分の舌への刺激にあります。このソースは濃厚で美味しいのですが濃厚だけにたくさん食べれません。一本調子にならないように時折ペン先で舌を突くわけです。クワトロ・フォルマッジォでナッツ類をトッピングするのも同じ理由からです。

【終わりに】
 油とダシ、歯と舌に対する刺激をきちんと考慮すれば美味しいものが出来るでしょうか。勿論そんなことはありません。油とダシの関係はあくまでも基礎です。そして、歯と舌の件はより美味しくするという手法です。その中間の基本的に美味しくするためのことはやはり素材の生かし方、味覚の5要素のバランスなどに大きく依存します。ただそういうことはやはり体系的には説明するのは難しく、結局は個々の料理のレシピという結果になるのです。

 美味しいものを創るって大変なことです。食材の数は大変な数あるのですから考え無しに組み合わせるより、自分なりの基準に従って組み合わせるのが得策です。油とダシと言うのは私が提示できる一つの策です。

 私はこれに海山を横糸として紡いでいきます。

 
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  1. 2006/01/19(木) 22:48:03|
  2. 食(その他)
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