ハチャの深層

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「創作小噺」フランス人の日本好き

 日本人のフランス好きというのは今に始まったことではありません。まず、洋服やカバンなどのブランド品、それにフランス料理、フランスワイン。フランス語の響きは格好良いですし、首都のパリは花の都です。知り合いの客室乗務員にパリのことを聞くと「歩いているだけで楽しい」とのことでした。最近、東京のフランス大使館が建て替えられましたが、その外観は洒落ています。美的センスが違うのもそうですが平均的美的センスが日本と違うのでしょう。日本はフランスのことが好きというよりどちらかと言うと憧れや羨望に近いのかもしれません。
 それではフランスは日本をどう見ているのかというと、結構日本贔屓の所があります。古くは浮世絵です。ゴッホが日本の浮世絵を真似た絵は有名です。最近では絵画というより漫画が人気のようです。スポーツなら柔道だそうで競技人口は日本の20万人に対してフランスが50万人と大きく上回っています。あと、茶道などでいう禅も今フランスではブームです。特に瞑想が好きなようで、zenはクールと言われています。日本人が一番好きなのはフランス?でフランス人が一番好きなのは日本?という相思相愛の関係ではないかと思ったりします。

 この話はあるフランスの服飾メーカの話です。フランスでそれほど名の知れてはいませんでしたが経営のほうは堅実なメーカでした。フランス人社長が大変な日本贔屓で伝統芸能に興味を持ち日本語も流暢に話すほどでした。それが高じて日本に進出しました。日本支店の支店長には現地である日本で競合メーカの日本人社員をヘッドハンティングし採用しました。進出後は順調に業績を伸ばしました。しかし、3年目は売上げが芳しくなく日本進出は早すぎたとのことで撤退の話がフランス本社から出たのです。日本支店長は撤退されると失業してしまうので困りますので一計を案じました。売上げが伸び悩んでいるのは宣伝が不足しているからとフランス本国に撤退を考え直すよう促したのです。宣伝広告に費用はつきものですが撤退するにも費用が発生するので、ここは一度宣伝にかけてみようと本社は判断しました。雑誌への宣伝は功を奏して売上げは伸びましたので撤退は回避されたのです。日本支店長は安堵しました。しかし、その1年後売り上げはまた頭打ちになり、また撤退の話が持ち上がりました。日本支店長の今度の考えはこうでした。需要はあるのだが店舗が都心から離れたところにあるため客足が遠のいている。都心に出店すれば売り上げ増を見込めるというものでした。この時もフランス本部を説得することができ撤退の話は収まりました。しかし、その1年後また売上げの伸び悩みました。3度目の撤退の話です。しかし、この時も支店長は何とか本部を説得し撤退は回避することができました。日本支店長はここでも首をつなげました。3度目の施策も功を奏し売上げを伸ばしました。
 撤退の話が出るたびに売上げを伸ばす回避策を打ち出したものの利益という点では貢献していませんでした。もちろん日本にある程度ブランドが定着するまで利益には目をつぶるという考えでもあったそうです。さて、その1年後、毎年恒例になった感のある撤退の話がまた出ました。今度ばかりは日本人支店長はよいアイデアが浮かびませんでした。しかし、撤退するとなると職を失うわけですから必死です。ちょっと焦った支店長はこう言いました。「今まで私は売上を伸ばす提案を2度してうまくいったではありませんか。今は具体的な提案というのはないが、少し待っては頂けないか。日本には『2度あることは3度ある』という諺があります。」
 フランス人社長は日本支店長に対してこう言いました。
「支店長、あなたは売上を伸ばすことでは貢献したことは認めよう。しかし、利益がそれについてきていない。利益はブランドが浸透してからという方針だったがそれでも赤字額が大き過ぎる。」
 社長のこの言葉に支店長も言葉を失いました。しかし、社長はさらに追い討ちをかけるようにこう続けたのです。
「さて、それにさっき言った『2度あることは3度ある』というその諺だが使い方が間違っているのではないか。たしかそれは良いことではなくどちらかというと悪いことに使う諺ではなかったか?」
「社長。確かにそうですね。その諺は悪いことが続く時に使います。」
「使い方の間違いはまあいいだろう。それよりお前はその諺を出すきっかけになった回数を間違えている。撤退の話が出たのは今度で4度目だ。だから私は過去3度了解したということだ。だから日本の諺で言えば『仏の顔も3度まで』ということだ。」

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  1. 2011/10/03(月) 00:01:48|
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