ハチャの深層

ハチャ独自の視点で ワイン、食、音楽、アート等を レビュ 。 

お気に入りのスピーカー

ウィーン・アコースティック

ブログカテゴリは創作小噺ですが、これは実際にあった話です。

 我々は大学で同じクラスでとても仲の良い間柄でした。音楽好きな私は彼の音楽の趣味を一変させてしまったほど影響を与えました。我々は卒業して10年ほど経過しました。私は久しぶり彼に会うために新居を訪ねました。

「そのタンスの上で横になっているスピーカーは使ってないのか?」と私は彼に聞きました。
「お前の言うことを聞かなかったから、ああなった。」と彼が言いました。
「そういうことか?」
「そういうことだ」

 大学時代にオーディオ好きだった私は、スピーカーの自作をするほどでした。私の周りの貧乏学生は私にスピーカー製作を依頼してきました。

「お前も、作ってやろうか?」と私は彼に聞いたことがありました。すると、彼は
「いや、俺はいいや。自分で買う」
「そうか。ただ、スピーカーを買うときに注意しないといけないことがあるんだ。それは、一聴して凄くいいと感じたものは買っちゃ駄目なんだ。」
「なんでだ?」
「音楽は3分聴いて終わりじゃないだろ?20分、30分聴くだろ?それに何年もそのスピーカーで聴くんだ。その音に耐えられなくなるんだ。一聴して惹かれるものは。」
「そんなものか?」

 そんな会話を交わしたのを覚えています。彼もちゃんと覚えていた。でも、買ってしまったのです。一聴して気に入ったスピーカーを。大学時代仲が良かった我々ですが、彼は私に少なからぬ対抗意識を持っていたようです。そんな、たわいない対抗意識がよもやな行動を取らせたのかも知れません。いずれにせよ、私が言ったことを確認するには高い買い物です。

 時間はずっと経過します。私はJBLのスピーカーユニットを買って自作のスピーカーでジャズとロックを主体に聴いてました。私の音楽の趣味も20年の時を経て変化しクラシックの割合が高くなってしまいました。それで、スピーカーも変えようと思い立ちクラシック向きのスピーカーを探すことにしたのです。クラシックを主体に聴くユーザと言うのは裕福な人が多いのか高額なものが多いです。もちろん、フルオーケストラの音も再現できるようにスピーカーが大きめであるというのもあるでしょう。それに国内メーカーにクラシック向きスピーカーはあまりなく、海外メーカーが多いこともあるでしょう。とにかく予算は2本で30万で探しました。最初は有名メーカーのカタログ、それにオーディオ雑誌のレビュで勉強です。予算を満たすものさえ見つからないなか、いくつかスピーカーの試聴をしました。当時の秋葉原にはその店オリジナルのスピーカーを販売している所もありました。そんな、特殊なものも含めて有名処のスピーカーはあらかた試聴したのですが、予算内で満足できるスピーカーに出会うことはありませんでした。
 そんな、手詰まり感があったある日、秋葉原の神田川沿いにも個性的なオーディオショップがあったことを思い出して、行ってみることにしたのです。すると、あるお店から結構大きな音が漏れています。もの凄く良い音でした。こんなに音の良さに惹かれたのは学生時代にJBLの4343を聴いて以来でした。もちろん、私との相性もあったのだと思います。店の前に立つとたくさんのスピーカーがこちらに向いています。でも、どのスピーカーが鳴っているのかが何故かわかったのです。店に入って近づくとやはり、そのスピーカーから音が出ていました。見事な音でした。それが高さ35cmほどのブックシェルフ型の小さなスピーカーが奏でていることにさらに驚きました。聞いたことがないウィーン・アコースティックというオーストリアのメーカーで価格は1本10万円程だったと思います。ウィーン・アコースティックのスピーカーはその店にはそれしかありませんでした。それなのに私は何を思ったか、この兄貴分のスピーカーがあるはずなので、それを買うことに決めたのです。
 その時、思い出したことがあります。大学時代に彼にアドバイスした言葉です。自分で自分に言われた気がしました。それで「いや、これは違う。」と一生懸命、自分自身に言い訳をしたのです。それでも、もしかしたらと心配にはなりました。でも最終的には美しい音を捉えた自分の耳を信じることにしました。
 店で出会ったのはウィーン・アコースティックの最も廉価のスピーカーでしたので兄貴分のスピーカーは数種類ありました。しかし、小さなメーカーでしかも高額なため、常時おいている店が無く視聴にこぎつけるまで結構苦労しました。予算も10万円程オーバーでしたが求めるよりはるかに高いクオリティでしたので納得してました。今年で12年目。やっぱり、あの時の判断は正しかったのです。
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  1. 2016/10/09(日) 09:45:18|
  2. 創作小噺
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