ハチャの深層

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劇中劇

ブログのカテゴリーは創作小噺ですが、これは実際にあった話です。

 それはテレビ番組の「行列ができる法律相談所」の進行中での話でした。司会は島田紳助で他の出演者にはレギュラーの東野幸治、そして、その日は山田花子が出演していました。山田花子は吉本興業の芸人で主に吉本新喜劇に出演しています。配役の中でも貶められるような役をやっています。

 ここで吉本新喜劇がどんなものかご存じない方のために代表的なストーリーの一つ説明いたします。

 田舎出の子ども(末松)が東京に丁稚奉公へ出ます。出来の良くない末松は2、3年経っても番頭に叱らる毎日です。そんなおり、末松の様子を見に親御さんが上京する旨、手紙が届きます。番頭はその手紙を読むや一計を案じます。丁稚たちを全員集めて番頭は次のように話します。
「末松の親御さんが明日この店に来る。今の状態を見たら親御さんたちはいらぬ心配するだろう。だから、明日だけは末松を手代(てだいは丁稚より位が上)とするので、みんなもそのように振舞ってくれ。」
 店の丁稚衆も番頭さんが言うことなのでと納得し、翌日を迎えます。末松の親御さんが訪れ店を案内されます。自分の息子の扱われ方に大そう驚くと共に安心します。ことは番頭が用意したシナリオ通り進み、全てが上手く行って終わると思いました。しかし、そんな事情などつゆ知らぬご贔屓のお客が突然店に来て末松を呼びつけ話がおかしなことに・・・結局、お店側のお芝居は末松の親御さんにばれてしまいます。
 実はこの親御さんは前日にこっそり来て店の様子を窺っていたので、自分の息子がまだまだ至らぬとわかっていたのです。お店側のお芝居に気づいていたもののそれに合わせていたのです。結局はその芝居がばれても、ばれなくとも同じだったのです。いずれにせよその親御さんは息子のためにひと芝居うってくださるその温かい心使いに安心して田舎に帰ります。ほのぼのしたストーリーです。
以上、ここまで。

 そんな新喜劇に出演している山田花子はその当時、結婚して数か月でした。司会の紳助がそのことについて話を振ったことから始まります。

紳助「花子。それにしても、よう結婚できたな。旦那さん、よう、お前みたいなもん貰ってくれたな。」
花子「はい。」
紳助「旦那さんの前でいくら取り繕っても、テレビとか観たらばれるやん。」
花子「旦那さんはテレビとか、あんまり観ない人なんです。」
紳助「そやけど、吉本の劇場とかも来るやろ。来たことないのか?」
花子「来たことはあります。何回かは。」
紳助「それでも平気なん?旦那さん。」

確かに紳助の言う通りです。自分の嫁さんになるであろう女性がこっ恥ずかしい姿を舞台で晒しているのです。耐えられないんじゃないかと思うのが普通です。

花子「・・・」
東野「あのー、それが・・・」
紳助「なんや?」

ここで東野はいつもの張った声の感じとは変わって、抑揚のない普通の口調に変わってしまいます。

東野「花子の旦那さんが来る日の舞台だけ、花子は(虐げられる役ではなく)いいもん役に替えてもらうらしいんです。」

東野幸治は、とてもばつの悪そうな顔に。
花子は恥ずかしくて無言。

島田紳助は余りに想定外の展開に目がテンで返す言葉が見つかりません。余りにも可笑しな事実に笑いたいけど、司会者なので笑えなくこらえなければいけない。そんな混乱に数秒間、「待て、待て、待て」を連発して時間を稼ぎます。

紳助「お前、それギャグやん!?」

 私も東野幸治の落ちを聞いて息を呑みました。そうです。まさにこれはリアル劇中劇。
 お笑いの舞台をやっている、その外側で今日だけいいもん役で旦那さんを騙すという舞台をやっている。映画や小説で劇中劇は良く出てくるシーンですが現実で聞いたのは私も初めてです。不謹慎ですが、その日の舞台演者はとてもワクワクしただろうな。そう思った次第です。
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  1. 2016/10/14(金) 10:03:48|
  2. 創作小噺
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